こんにちは。精神科医のAです。今日は、アメリカの学校でよく使われている「解決志向カウンセリング(Solution-Focused Counseling, SFC)」についてお話ししたいと思います。この方法は、スクールカウンセラーが生徒の悩みを解決する手助けをするために広く活用されています。
解決志向カウンセリングとは、問題の原因を深く掘り下げるのではなく、解決策を見つけることに焦点を当てるカウンセリングです。一般的なカウンセリングでは、過去の経験や問題の背景を詳しく話すことが多いですが、SFCでは「何がうまくいっているか」 に注目し、その強みを活かして前向きな変化を生み出していきます。
カウンセリングの中では、クライアント(相談者)に「理想の未来」をイメージしてもらいます。つまり、「問題が解決した後の自分の姿」を考え、それを実現するためにできることを見つけていくのです。例えば、カウンセラーは次のような質問をします。
その理想に近づくために、今できる小さな一歩は何ですか?
このように、クライアントが自分の中にある「解決策」を発見できるようサポートするのが、このカウンセリングの特徴です。
SFCには、特に学校などの場面で役立つさまざまなメリットがあります。
一方で、SFCはすべての人に適しているわけではありません。特に、以下のようなケースでは、他のアプローチが必要になることもあります。
これまでのカウンセリングでは、問題の原因を深く掘り下げることが重視されることが多かったため、私にとって解決志向カウンセリングの考え方は、まさに「目からうろこ」でした。特に、悩みの原因が自分でも分からない子どもは多く、そのような子どもたちにとって「過去よりも未来に目を向ける」というアプローチは大きな助けになるのではないかと感じました。
しかし一方で、SFCを効果的に行うためには、カウンセラーの「傾聴」の力がとても重要だと考えます。ただ単に解決策を探るだけでは、クライアントが「自分のつらい気持ちをわかってもらえなかった」と感じてしまうかもしれません。SFCが成り立つためには、まずクライアントの気持ちをしっかり受け止め、「あなたの気持ちを理解していますよ」という安心感を与えることが前提になるのではないかと思っています。
カウンセリングにはさまざまな手法があります。それぞれの特徴を理解しながら、相談者にとって最適な方法を選んでいくことが重要ですね。
※認知行動療法は、認知(考え)と行動の変容を促し、こころの問題を解決する心理療法です。
千葉⼤学で2019年4⽉に⽴ち上げた「簡易(低強度)認知⾏動療法的アプローチによる相談⽀援を⾏うメンタルサポート医療⼈養成プログラム」では、対⼈援助職の⽅々を⽀援しています。
2023年度より千葉⼤学発ベンチャー「株式会社メンサポ」が上記の教育⽀援事業を引き継ぎました。
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