こんにちは。精神科医のAです。今回のコラムでは、傾聴シリーズの最後として、「相手の感情を探る」方法についてお話しします。今回は、より深い理解と共感を得るための方法を掘り下げていきます。
大学院に入学した頃、ベテランの先生から「再現VTRを撮るように、相手の状況が細部にわたってわかるように聞き取ること」というアドバイスを受けました。このアドバイスは、非常に重要な傾聴の技術です。
このように詳しく聞くことによって、話している本人が自分の感情や状況に気づくことが増えます。このプロセスを通じて、相手が自分の感情を理解し、認められる経験を得ることができるのです。そして、私たちも相手のストーリーの中に深く入り込み、その感情を共感することができます。これが、本当の意味での共感につながります。
最後に、傾聴の生みの親であるカール・ロジャースが提唱した「クライアント中心療法」における三つの条件について触れます。これらの条件が、良好なカウンセリング関係を築くための基本となります。私は、今回まで説明してきた、VTRの再現や、適切なオウム返しや事実と感情を見極めて話を聞くという技術をこの事項を実践するために用いています。
この三つの条件は一見シンプルですが、これまで話してきたように、非常に難しく時間がかかるものです。しかし、これらを態度をもって、粘り強く関わっていくことで、より深い理解と共感を持つことができるのです。
【次回の予告】
次回からは、子どもに対する認知行動療法の内容について、お話ししていく予定です。
どうぞお楽しみに。
※認知行動療法は、認知(考え)と行動の変容を促し、こころの問題を解決する心理療法です。
千葉⼤学で2019年4⽉に⽴ち上げた「簡易(低強度)認知⾏動療法的アプローチによる相談⽀援を⾏うメンタルサポート医療⼈養成プログラム」では、対⼈援助職の⽅々を⽀援しています。
2023年度より千葉⼤学発ベンチャー「株式会社メンサポ」が上記の教育⽀援事業を引き継ぎました。
認知行動療法を学ぶコースにご興味のある方は CBTラーニングとは をご覧ください。
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